精神疾患を理由で障害年金を請求する人の数は、障害年金の請求の中で一番おおいと言われ障害年金の4人に1人は精神疾患を理由と言われています。
しかし、これは精神疾患を理由とした請求の母数の多さのあらわれであって、必ずしも精神疾患を理由として障害年金を受給が容易であるということを表してはいないと思います。
実際に、うつ病などの精神疾患を理由に障害年金をご自身で請求してその請求の複雑さとわずらわしさ、重要なポイントをおろそかにして不支給となっているケースを多く見受けられます。
このページではそのようなことがないように精神疾患で障害年金を請求する場合何が重要なのかすべてを掲載したいと思います。
精神疾患の障害年金はいくらもらえるか
精神疾患の障害年金はいくらもらえるのかは、他の障害年金と同じくその人の条件によって違います。
結論から先に大きく分けて書きます。
働いている人が働いている時に精神疾患を発病した場合で、精神障害の2級程度と判断されたら月額14万円から20万円くらいと推定されます。
子供の時に知的障害が発覚した場合など20歳前にはじめて医者に診断してもらった場合で障害の程度が2級程度と判断されると年間約78万円、月額にすると6万5千円くらい受給できます。
これはあくまでもおおよその目安で、請求者本人のおかれた状況によって個人差があります。
精神障害の障害年金請求に必要な提出書類
精神障害の障害年金をもらうために必要となる提出書類について説明します。
最終的にはお近くの年金事務所へ裁定請求書を提出します。
- 保険料の納付条件を満たしているか(年金事務所)
- 受診状況等の証明書と診断書(医師)
- 病歴状況等申立書(ご本人)
- 配偶者や扶養がいる場合の添付書類(市町村役場)
- 障害年金裁定請求書(年金事務所)
初診日の問題もありますが、まず最初に障害年金をもらえるだけの保険料を今まできっちり支払っているかを確認する必要があります。
保険料を支払っていない場合に障害年金を受給できない可能性もあります。
また、最も重要となるのは医師によって書かれた診断書です。
障害年金は審査をする担当者が書類で審査をします。そのために医師による診断書による判断が決定的となります。
ここで、本来なら主張しなければならないこと、主張する必要のないものまで医師に誤解を与えるような説明をして不支給となる人が多く見えます。
障害年金を請求する とても重要なポイントとなりますので、ぜひ障害年金の請求をお考えの方は当事務所に相談いただけたらと思います。
一人で請求する場合、病歴状況等申立書をご自身で作成されることになります。
当事務所にご相談いただけたら今までの症状などをご相談の上で障害年金請求するうえでもっとも適したものをともに作成いたします。
障害年金の申請で注意するポイント
「精神疾患があるから当然に障害年金がもらえるだろう」
あるいは、
「医師の診断は常に公正であるはずだから医師の診断を信頼している」
そのように単純に考えていたら本来ならもらえるはずの障害年金が思いもかけず不支給になることがあります。
それは障害年金という制度を請求する本人も医師も熟知せずに安易に考えていることからくるものと考えられます。
本来ならもらえるはずの障害年金がもらない、一度医師の診断書が作成されたら再度取り消して請求し直すことは難しくなります。
そのようなことがないように障害年金を請求する場合は障害年金という制度を熟知した専門家に一度相談してみることはとても重要となります。
見落としてるものがないかどうか、一度当事務所へご相談ください。
精神障害年金請求できる精神疾患
障害年金を請求する場合を精神疾患をわけると「統合失調症」「うつ病・躁うつ病気分障害」「器質性精神障害」「てんかん」「知的障害」「発達障害」とわけられます。
それぞれ障害年金の支給が認められる条件基準の詳しい説明はこのページの一番下を見ていただき、まずは簡単な見極め方を見てみましょう。
統合失調症
統合失調症については、病気で長年苦しまれる方と、逆に何年かして病状が回復に向かう方と見えます。
そのために、統合失調症として認定されるには発病時からどのように療養をしていたのか、症状はどのようなものがあり、それが継続していたのか、などが判断の材料とされます。
そのために病歴状況等申立書や診断書も十分注意が必要となります。
統合失調症で障害年金の請求をお考えの方は一度当事務所にご相談ください。
気分障害
気分障害に関しては、症状が重い状態の時期がある一方で、比較的症状が軽い時期もあります。
そのために今現在の症状だけを重視するのではなく、今までの経過や日常生活などでどれほど支障をきたしていたのかなどが判断材料となります。
また、統合失調症などの他の精神疾患と併存しているときは併合して認定されるのではなく、総合的に判断されます。
気分障害での障害年金認定にはそれまでの経緯が重視される傾向にあるために、どの程度日常生活で苦労していたのかなどの意思疎通が大切な要素となります。
器質性精神障害
器質性精神障害とは、膠原病や内分泌疾患、全身疾患による中枢神経障害などの精神障害が含まれます。
また、アルコール依存症や薬物などの精神作用物質の仕様による精神及び行動の障害についても含まれます。
なお、アルコールの精神作用物質により生じる精神障害については、精神病性障害とはならない、急性アルコール中毒のようなものは含まれません。
高次脳機能障害
高次脳障害の障害の状態で注意すべきポイントは、高次脳障害はリハビリテーションや療養の経過によって回復する傾向もあるために、症状の経過が重視されることです。
基本的には日常生活でどの程度の障害のある生活があるのか、社会生活においてどの程度制約があるのかが注視されます。
高次脳障害の主な症状は失語や失認、記憶障害や注意障害など社会生活を営む上での障害が見られることです。
てんかん
てんかんが障害年金の対象として認定される時に注視される点については、てんかんによって社会生活を営む上でどれだけ制約がかかっているのか、社会生活で不利益を被っているのかが問題になります。
てんかん自体の症状としては、発作時に意識障害が起こるかどうか、姓名の危険性や社会生活をおこなううえで危険かどうかなどが考慮されます。
またてんかんの発作の頻度や発作の間隔なども考慮されるのでその点をしっかりと伝えることが重要となります。
知的障害
知的障害に関しては、おもに子供の頃に知的機能の遅れが見られる傾向にあります。
そのために、早期に発見しやすいものとも言われていますが20歳以降に自覚することもあるようです。
知能指数だけが着目されがちですが、日常生活においてさまざまな場面での援助の必要性などが考慮されることになります。
また、社会的な適応性や就労支援しえつなどに参加していることなども判断材料の一つとされます。
仕事をしているかどうかだけで判断されることはなく、仕事をしていてもその援助の必要性や仕事の種類、働いている環境なども考慮されます。
発達障害
発達障害とは自閉症、アスペルガー症候群、その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害をさします。
発達障害は知能指数が高くても社会行動や意思疎通能力の障害により対人関係や意思疎通を円滑に行うことができないために日常生活に制限を受けることが重視されます。
働いているかどうかについては、職場が就労施設のようなものや小規模作業所などに限りません。
一般的な仕事をしているものでも援助や配慮のもとで働いているものが含まれます。
パニック障害などの神経症で障害年金は支給されるか
結論から書きますと、パニック障害などの神経症については、原則不支給となります。
非常に難しい物がありますが、パニック障害のような神経症が例外なく不支給であるかとなると例外はあります。
それは、「その臨床症状から判断して精神病の病態を示しているものについては、統合失調症または気分障害に準じて取り扱う」となっています。
つまり、パニック障害と診断されていても、精神病の病態を示しているものは障害年金が支給されることになります。
各傷病による認定基準と障害の状態
統合失調症
障害程度 | 障害の状態 |
---|---|
1級 |
|
2級 |
|
症状性を含む器質性精神障害
障害程度 | 障害の状態 |
---|---|
1級 |
高度の認知障害、高度の人格変化、 その他の高度の精神神経症状が著名なため、常時の援助が必要なもの |
2級 |
認知障害、人格変化、その他の精神神経症状が著名なため、日常生活が著しい制限を受けるもの |
3級 |
認知障害、人格変化は著しくないが、その他の精神神経症状があり、労働が制限を受けるもの 認知障害のため、労働が著しい制限を受けるもの |
てんかん
障害程度 | 障害の状態 |
---|---|
1級 |
十分な治療にもかかわらず、てんかん性発作のAまたはBが月に一回以上あり、かつ、常時の援助が必要なもの |
2級 |
十分な治療にもかかわらず、てんかん性発作のAまたはBが年に2回以上、もしくは、CまたはDが月に一回以上あり、かつ、日常生活が著しい制限を受けるもの |
3級 |
十分な治療にもかかわらず、てんかん性発作のAまたはZBが年に2回未満、もしくは、CまたはDが月に一回未満あり、かつ、労働が制限を受けるもの |
A意識障害を停止、状況にそぐわない好意を示す発作
B意識障害の有無を問わず、転倒する発作
C意識を失い、行為が途絶するが、倒れない発作
D意識障害はないが、随意運動が失われる発作
知的障害
障害程度 | 障害の状態 |
---|---|
1級 |
知的障害があり、食事や身の回りのことを行うのに全面的な援助が必要であって、かつ、会話による意思の疎通が不可能か著しく困難であるため、日常生活が困難で常時援助を必要とするもの |
2級 |
知的障害があり、食事や身の回りのことなどの基本的な行為を行うのに援助が必要であって、かつ、会話による意思の疎通が簡単なものに限られるため、日常生活にあたって援助が必要なもの |
3級 |
知的障害があり、労働が著しい制限を受けるもの |
発達障害
障害程度 | 障害の状態 |
---|---|
1級 |
発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が欠如しており、かつ、著しく不適応な行動が見られるため、日常生活への適応が困難で常時援助を必要とするもの |
2級 |
発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が乏しく、かつ、不適応な行動が見られるため、日常生活への適応にあたって援助が必要なもの |
3級 |
発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が不十分で、かつ、不適応な問題が見られるため、労働が著しい制限を受けるもの |