うつ病で会社をやめるときの社会保険手続き

うつ病なのに仕事をやめられない

「会社に行きたくない」

「最近なにをしても楽しくない」

そんな重たい気持ちを抱えながらも仕事を辞める訳にはいかない。

そのような人のかずは増え続けているようです。

厚生労働省の調査によれば気分障害による患者数は2008年には100万人を超えたとのことです。

社会保険労務士という立場から労働相談を受けることが多いのですが、うつ病で仕事を辞めたい、あるいは辞めるという相談は多くあります。

しかし、うつ病だから会社を辞めても良いかどうかはその人の置かれている状況により大きく異なります。

この記事では以下のトピックについて説明します。

  • 会社の労働者への労働環境の提供のあり方
  • メンタルヘルス不調者への社会保障(傷病手当金と障害年金)

うつ病で会社をやめることを考えるときにするべきこと

うつ病で会社を辞めたいと考えている時に注意して考えることは3点あると思います。

  • 置かれている家庭環境
  • 会社のメンタルヘルス対応
  • その人のうつ病の状態

置かれている家庭環境がプレッシャーとなり仕事を辞められない状況で苦しんでおられる方はよくみえます。

一家の大黒柱であったり、逆にひとり暮らしで収入は自分で支えている場合などもそうでしょう。

しかし、深刻な状況におちいる前に早めに手を打つことはうつ病の改善のためにも大切なことだと思います。

社会保障の面でどのような対策が有効かについてはあとでまとめて書きます。

会社のメンタルヘルス対応についても最近では注目を集めています。

従業員数50人以上の会社ではストレスチェックが義務付けられました。

企業の責任としてメンタルヘルス対策は急務となっております。

日本の労働環境は従業員が50人未満の中小零細企業がほとんどという中ではあまり関係ない方も多く見えるかもしれません。

しかし、50人未満でも努力義務であることに変わりません。

労働者の労働環境改善は企業の責務と呼んでもよいでしょう。

うつ状態の労働者とどのような共同歩調をとって職場の労働環境を改善していくのかはこれからのわたしたちの社会の課題だと思われます。

会社手続きと社会保障

先程も書きましたように大企業であるならばメンタルヘルス対策が実施されている企業は珍しくありません。

しかし、中小零細など体力がない会社は従業員のストレスチェックとなると目が行き届かないのが現状ではないでしょうか。

そのような場合には法律や社会保障制度等から補って対応していくことも重要になります。

労働者の権利や保証制度

労働相談などを受けていて多いのがメンタルヘルスの問題を抱える従業員がいる会社は、有給休暇をとることができないブラック企業が多いということです。

有給休暇と言っても馬鹿にしてはいけません半年以上勤務していたらほぼすべての従業員は年間10日以上の有給休暇取得が可能です。

これは労働基準法に定められていて会社は基本的に拒否することはできません。

6年半以上勤務していたら年間20日間の有給休暇が可能となります。

この有給休暇を有効活用することはたいせつです。もし有給休暇を拒否するようでしたら労働基準監督署に相談に行きましょう。

労基法違反として対応してくれるはずです。

また、会社によってはメンタルヘルスが不調な従業員に対して休職制度を実施している会社もあります。

この休職制度は法律によって定められたものではないのですべての会社とは言い難いですが多くの会社であるので就業規則などを確認してみてはいかがでしょう。

労務不能となり条件を満たせば傷病手当金も受け取ることが可能となります。

傷病手当金は仕事ができない期間1年6ヶ月まで働いていた時の3分の2ほどのお金を受け取れます

詳しくは以前の記事を参照ください。

傷病手当金参考記事:傷病手当金とはなにか有効な利用方法|愛知名古屋の障害年金申請あんしん代行

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また障害年金についても注意が必要となります。

覚えておいて欲しい障害厚生年金の仕組み

障害年金の仕組みを知らないために大きく損をする場合があるので注意が必要となります。

障害年金を受給するためには初診日が重要となります。

初診日とははじめて医師または歯科医師の診療をうけた日のことです。

これは厚生年金に加入していた時期であるかどうかが重要視されるということです。

うつ病で会社を辞めたい時の社会保障まとめ

少し長くなりましたが、要約してみましょう。

メンタルヘルス不調で会社を辞めたいと考えた時まずはできるだけやれることをやりましょう。

  1. 有給休暇を使いできるだけ心身リフレッシュを図る。
  2. 傷病手当金は働いている期間に1年6ヶ月利用できる。
  3. 働いている期間に医師の診断を受ける(障害厚生年金)

以上3つは仕事をしている人が注意すべき権利であり社会保障であります。

また、社会保障の面から障害年金に興味のある方は、一度専門家である社会保険労務士に相談してみてはいかがでしょうか。

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